メニュー

かつき先生コラム 〜夜尿症①〜

[2025.05.12]

こんにちは!院長です!

今回から新シリーズとして、当院の常勤医師の勝木先生に身近な子どもの病気について解説していただくコラムを掲載します!

とてもわかりやすく書いてくれましたので、みなさまぜひご覧ください✨️

初回は夜尿症(おねしょ)、前後編でお送りします!

 

 

こんにちはアクアキッズクリニック市川院の勝木です。

 今回は夜尿症についてのお話です。

 今現在でも夜尿症のご相談や、そこから夜尿症に対してのお薬を継続するために当院に受診されている患者さんが多数いらっしゃいます。

 この機会に、私たちが夜尿症のご相談を受けた際に気を付けていること、必要な検査、夜尿症の治療について皆さんにお伝えできればと思います。

 

【夜尿とは】

 夜尿とは、一般の方のことばで言う「おねしょ」のことです。

 みなさんご存知の通り、赤ちゃんはもともと日中も夜間もずっとおもらし、おねしょをしています。そこから年齢を重ね、まずは日中のおしっこをトイレでできるようになり「おねしょ」のみが残り、最終的には夜におしっこを漏らさなくなるもしくは自分で起きてトイレでおしっこができるようになってついに「おねしょ」をしなくなります。

 

 その中で日本夜尿症学会は病気としての「夜尿症」を次のように定義しています。

 

・5歳以上の小児の就眠中の間欠的尿失禁

・昼間尿失禁や他のLUTS(下部尿路症状)の合併の有無を問わない

・1か月に1回以上の夜尿が3か月以上続く

・1週間に4日以上の夜尿を「頻回」、3日以下の夜尿を「非頻回」とする

 

 つまり、5歳未満のお子さんの「おねしょ」は私たちが病気として考える「夜尿症」ではなく、また大きなお子さんでも「おねしょ」の回数が少なければ、それも「夜尿症」とは言えないとなります。

 

 なお夜尿症の頻度としては、5歳のお子さん全体の15%で夜尿症がみられると言われています。またより大きい年齢のお子さんに関しては、7歳で10%、10歳で5%、12-14歳で2-3%の頻度です。年齢が大きくなると減っていく傾向はもちろんありますが、中学生の年齢でも実はまだ夜尿症でお困りの方は意外といらっしゃいます。

 

【夜尿がおきる仕組み】

 夜尿症の原因には①睡眠から覚醒する能力、②夜間の膀胱の蓄尿能力、③夜間の尿の生成のミスマッチ、の大きく3つの要素が関係していると言われています。

 

 夜尿症がみられる児は睡眠中に刺激をしても覚醒しにくいという報告があります。夜間に尿が溜まっている刺激で起きにくいこと、また夜尿をしてしまい衣類や寝具が濡れてしまっても本人はぐっすり寝ているといったお話しもよくご家族から聞きます(①睡眠から覚醒する能力)。

 また睡眠中に膀胱が尿を少ししか溜めることができなかったり、尿が溜まると起きる前に膀胱が収縮してしまったりする特徴もあると言われています(②夜間の膀胱の蓄尿能力)。

そして、後述する生活指導や薬物療法にも関わるところですが、もともと夜間の尿量を抑えるホルモンの分泌の低下や、就寝前の水分摂取の過多や食事での塩分の摂取の過多により、夜間の尿量が多い状況も夜尿の原因になっています(③夜間の尿の生成のミスマッチ)。

 

 上記の要素のうち①睡眠から覚醒する能力さえ獲得すれば夜尿はなくすことができます。しかし3つの要素はある程度同時に成長することが一般的です。またどれかの要素に著しい問題がある場合はこの後述べるように夜尿の背景に何らかの疾患が隠れていないかを検討する必要があります。

 

【夜尿症の受診と最初に考えること】

 夜尿に関する受診について、当院はどのような患者様でもいつでも受診していただいてよいと考えています。

 上記の夜尿の定義に当てはまる方はもちろん、当てはまらないとしても今後の生活の中での夜尿対策などのお話しもできますのでお気軽にご相談ください。

 

 また、以下の症状がある方はぜひ積極的に受診をしてください。

 

・日中の尿失禁や頻尿、便失禁がある

・排尿にあたっていきんでおしっこを出している様子がある

・便秘症を併発している

・日中や眠前、睡眠中に多量の水分摂取がある

・6ヶ月以上夜尿がみられない期間があったが再発している

 

 このような場合は、その他の病気(便秘症、糖尿病、膀胱炎、尿崩症、心因性多飲など)があって結果として夜尿になっていないか、最近の環境や心理的な変化が夜尿の原因になっていないかなどの評価と、原因の治療を行う必要があります。ぜひ受診をしていただいて、必要な検査や対応を検討させてください。

 

 そして上記のような症状や状況がなかった場合のことを、私たち医療のことばでは「単一症候性夜尿」と呼びます(いわゆる「おねしょ」ですね)。

次回はこの夜尿をどのように治療するのか、お伝えいたします!

 

NEXT→準備中

 

 

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME