にい先生コラム 〜子どもの肌を紫外線から守ろう〜
みなさんこんにちは!院長です!
今回は、これからの季節気になる紫外線対策について、小児科医の目線から解説させていただきます!
子どもの肌を紫外線から守ろう!
紫外線による影響
過度の紫外線を浴びてしまうと、下記の原因になり得ます。
・ひやけ(肌の赤みや痛みといった、いわゆる肌がやけどした状態)
・将来、皮膚がんのリスクが増える可能性
・目への影響(白内障や翼状片など)
・しみやしわの原因
このような紫外線による悪影響がある一方で、紫外線にはビタミンDを生成する役割もあります。
ビタミンDは、骨の健康維持や免疫機能の調整など様々な役割を担っています。
しかし、必要なビタミンDは1日15分程度、手の甲に日光を浴びることで十分と言われています。過度な紫外線を避け、体を健康に保ちましょう。
紫外線対策
では、どのように紫外線から肌を守ったら良いのでしょうか。
下記のように対策はいくつかあり、ご自宅でできる対策をいくつか組み合わせて行えると効果的です。
・外出の時間を工夫する
紫外線の量が特に多い10時から14時の外出を控えられると紫外線による影響を抑えることができます。
・外出時は日陰を利用する
日陰の紫外線量は、日向の50%程度と言われており、日陰の利用も効果的です。
・帽子や衣類の工夫
帽子のつばが7cmあると、紫外線を60%カットできるといわれています。
他にも、七分袖の洋服を利用して皮膚の露出を少なくする、UVカット効果のある衣類を利用することなども効果的ですが、熱中症への配慮も必要です。
・日よけの利用
日傘や、ベビーカーのサンシェードの利用など日陰を作る工夫をしてみましょう。
・水遊び時の工夫
最も肌を露出しやすく、紫外線の影響を受けやすいです。ラッシュガードの着用、テントや天幕の利用、屋内施設の利用など工夫が必要です。
・日焼け止めの利用
日焼け止めについては、次の項で詳しく解説していきます。
日焼け止めはいつから?
決まった見解はありませんが、おでかけをはじめるのが1か月健診以降になることが多く、実際に日焼け止めを使うのはそれ以降になるでしょう。
生後6か月未満では、外出時間の工夫やサンシェードの利用で紫外線対策ができるようであれば必ずしも日焼け止めは必要ではないとする意見もあります。
お子様の環境や肌の状態に合わせて開始しましょう。
季節としては、紫外線は4月から9月に強くなります。この時期は紫外線対策を万全にしましょう。
また、曇りの日でも紫外線の量は晴れた日の80%程度あると言われています。天候にかかわらず、紫外線の多い時期は紫外線対策が必要となってきます。
子ども用の日焼け止めの選び方
お肌に優しいこども用の低刺激性のものを選びましょう。
いずれの日焼け止めにも、紫外線防止剤が使用されています。
紫外線防止剤は、紫外線散乱剤と紫外線吸収剤がありますが、紫外線吸収剤は白くなりにくい反面、まれにアレルギー反応を起こすことがあります。
一方で、紫外線散乱剤は白浮きしやすいもののアレルギーを起こすことがほとんどありません。
お肌が敏感な方やこども用の日焼け止めは、ほとんどが紫外線散乱剤のみを使用しています。
こども用の日焼け止めを選ぶ場合は、「紫外線吸収剤無配合」、「紫外線吸収剤フリー」、「ノンケミカルサンスクリーン」といた表示がされているものが良いでしょう。
また、「無香料」、「無着色」のものも肌への負担が少ないです。プールに入る場合は、「耐水性」または「ウォータープルーフ」の記載があるものがよいでしょう。
いずれも、対象年齢を確認して選ぶようにしましょう。
また、日焼け止めの効果はUVB波を防ぐSPF(Sun Protection Factor)とUVA波を防ぐPA(Protection Grade of UVA)で確認ができます。
UVB波は肌を赤くし、炎症を起こします。一方、UVA波は肌の奥深くまで浸透し、しみやしわ、たるみの原因となります。
日常の生活ではSPF15~20、PA++、海や山ではSPF20~40、PA++~+++を目安に使いましょう。
日焼け止めの塗り方
日焼け止めは、薄塗りすると十分に効果が得られないことがあります。
下の表を参考にして塗りましょう。
また、はじめて使う日焼け止めの場合は、少量を腕などに塗り、赤くならないか事前に確認する試し塗りをできると安心でしょう。
遅れて赤みが出てくることもあるため、塗布後48時間程度皮膚の状態を確認できるとよいでしょう。
日焼け止めは、1日の終わりにしっかりと洗い流しましょう。通常の石鹸やボディーソープなどで落ちるものが多いですが、購入前に確認できるとさらに安心でしょう。
他の外用剤と併用する場合について
塗り薬や虫よけを併用することもあるかと思います。
塗る順番としては、まず塗り薬から塗布し、その後日焼け止め、虫よけの順で使うとよいでしょう。
これから気温が上がり、日差しもますます強くなっていきます。
ご自宅でできる日焼け対策をしていきましょう。
参考資料
日本小児皮膚科学会 こどもの紫外線対策について
環境省 紫外線マニュアル