夏の3大感染症
こんにちは、アクアキッズクリニック市川院です。
今年も残り半年を切りましたね。7月に入り30度超えの日々が続いておりますが、体調管理はいかがでしょうか?暑さに負けずみんなで元気に猛暑を乗り越えましょう!
今回は夏に流行る感染症3つ!
①ヘルパンギーナ、②手足口病、③アデノウイルスについて紹介したいと思います!
【①ヘルパンギーナ】
発熱と、のどに水疱と痛みが現れる感染症です。
ヘルパンギーナは、エンテロウイルス属のコクサッキーウイルスA群によって引き起こされる感染症で、乳幼児を中心に夏に流行する感染症です。感染症発生動向調査によると、5歳以下が全体の90%以上を占めています。
〜症状と経過〜
2〜4日の潜伏期間の後、38 度以上の突然の発熱に続き、のどの痛み、のどの奥にできる水疱(小さな水ぶくれで、痛みを伴います)が 1週間程度続きます。のどの奥に口内炎ができるといったイメージです。一般的には2~3日以内に自然に回復します。
合併症として、熱性けいれん、脱水症など、小児ではまれに髄膜炎や心筋炎などの注意が必要です。
〜登園・登校のルール〜
24時間、熱がなく、食事を普段どおりとることができていれば登園・登校は可能です。
【②手足口病】
口の中や、手足などに水疱を伴う複数の発疹が出る感染症です。
手足口病は、主にコクサッキーウイルスA16とエンテロウイルス71型によって引き起こされる感染症で、ヘルパンギーナ同様に乳幼児を中心に夏に流行する感染症です。感染症発生動向調査によると、2歳以下が半数を占めますが、小学生でも流行的発生がみられることがあります。
〜症状と経過〜
3~5日の潜伏期間の後、口の中、手のひら、足底や足の甲などに小さな水疱を伴う複数の発疹が出ます。発熱は約30%の方にみられますが、38℃以下の軽度の発熱が多いです。一般的には、3~7日のうちに自然に回復します。
合併症として、エンテロウイルス71型では無菌性髄膜炎や脳炎を合併することがあります。また、コクサッキーウイルスA6では、1〜2か月経って爪の脱落がみられることもありますが、自然に治るとされています。
〜登園・登校のルール〜
ヘルパンギーナと同様で、24時間熱がなく、食事を普段どおりとることができていれば登園・登校は可能です。
【③アデノウイルス】
アデノウイルスは50種類以上の型があり、それぞれのウイルスにより発熱、咳や鼻水、下痢や腹痛、のどの痛み、目の充血など様々な症状が出現します。
アデノウイルスは感染した場所によって、症状の出現の仕方や病名が変わります。
①アデノウイルス咽頭炎・扁桃炎
症状は発熱やのどの痛み
リンパ節の腫れやのどの症状が特徴的で発熱します。
〜登園・登校のルール〜
熱が下がれば登園・登校は可能です。
②咽頭結膜熱(プール熱)
症状は発熱+のどの痛み+結膜炎(充血や目やに)
咽頭結膜熱は、プールでの接触やタオルの共用等で感染することがあるため、「プール熱」と呼ばれることもあります。38〜39℃の高熱が数日〜1週間続き、のどの赤みや痛み、扁桃の白苔(白色の苔状物)などが特徴です。加えて、片目〜両眼が真っ赤に充血し、目やにが出るなどの結膜炎症状がみられます。また、頭痛や吐き気、腹痛や下痢が起こることもあります。
〜登園・登校のルール〜
発熱・咽頭炎・結膜炎などの主要な症状が治ってから2日経過したら登園・登校は可能です。
③流行性角結膜炎(はやり目)
症状は結膜炎症状(充血や目やに)
流行性角結膜炎は発熱やのどの痛みなどはありませんが、目の充血・目やになどの結膜炎症状が特徴的です。
流行性角結膜炎に有効な点眼薬はありませんが、炎症を抑えたり細菌感染症の合併を予防する抗菌薬点眼を使うことがあります。
〜登園・登校のルール〜
医師が感染の恐れがないと認めたら登園・登校は可能です。
※目の充血や涙、痛み、目やにがなくなるまではお休みとなります。
感染経路
感染症にかかった人の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌によって感染(飛沫感染)します。症状がおさまった後も、患者さんの便の中にはウイルスが含まれています(2~4 週間程)。また、水ぶくれの内容物や便に排出されたウイルスなどが、手を介して口や眼などの粘膜に入って感染します(経口・接触感染)。そのためトイレ使用時やオムツ交換の際には注意が必要です。
登園許可証について
アデノウイルス感染症の中でも、「②咽頭結膜熱」や「③流行性角結膜炎」の場合は登園許可証が必要な場合が多いで各園や学校のルールにもよるため、事前にご確認ください。
治療方法
ヘルパンギーナ、手足口病、アデノウイルス感染症、以上3つの感染症は、すべてウイルス感染症であるため、特別な治療法はありません。それぞれの症状に応じた対処療法が行われます。そのため、抗生剤の内服は効果がありません。
口の中に水ぶくれができて痛い、のどの痛みが強い場合は、食事や水分など摂取がしにくいため、食事は柔らかく薄味の飲み込みやすいものをとりましょう!酸っぱいものや熱いものはのどにしみるため控えましょう。また、少しずつでも、水分補給を心がけることが大切です。熱がある時や口が痛くてご飯が食べられない時は、解熱鎮痛剤を使用しましょう!普段の食事を摂取するのが難しい場合は以下のようなものをお試し下さい。
食べ物:口が痛いときは噛まずに飲めるものがおすすめです!
例)プリンやゼリー、ヨーグルト、アイス、豆腐、冷ましたおかゆ、うどん、など
飲み物:糖分があるもので水分補給をしましょう!
例)リンゴジュース・ポカリ・牛乳・麦茶など
自宅での対応
感染予防にはこまめな手洗いをしっかりしましょう!また、咳やくしゃみなどをするときはマスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえるなど、咳エチケットを心がけましょう!
【ご家族で感染者が出た場合の対応】
①タオルや食器の共有はNG
②汚染した洗濯物は家族のものとは別に洗濯
→アデノウイルスは熱に弱いので熱湯をかけてから選択するとGOOD
③アルコール消毒は効かないので次亜塩素酸(ミルトンなど)で消毒を!
【まとめ】
今回は夏に流行る3つの感染症について紹介しました!どの夏風邪もウイルスのため
これを飲めば治る!といった特効薬はありません。そのため、症状を少しでも和らげるための治療をしながら、自分の免疫で自然に治るのを待つことしかできません。ですが、手洗いうがいなどで感染を予防することはできます。どのウイルスも感染力が強いため、とくに集団行動をされているお子さんは注意しましょう!みんなで夏の感染症に負けずに、暑い夏を乗り越えましょう!
厚生労働省
ヘルパンギーナ
手足口病
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/hfmd.html
咽頭結膜熱
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/pcf.html